「なんで姉貴こんなノリノリなんだ!?こんな趣味無かっただろ!?」
「ファミリー客多いからキャラクターショー呼んだりしてるんだよね。」
「あ?それの影響かよ?」
「そう。役者さんと打ち合わせしてその後にショー見たら、あの人がこの子になってこんな事するんだって思うとなんか…」
「完全に見方が凪沙になってねえか…」
「で、ウチもなんか出来ないかなと考えた結果、旅館の近所イノシシよく出るでしょ?猟友会からそのお肉買い取って食事に出したり売店で売ったりしてるんだけど、プロモーションになんか出来ないかなと思って…」
「若女将の仕事の合間に売店でぼたん姫としてグリーディングしてる」
「なにやってんだよ姉貴!!」
「そりゃぼたんという名前を背負ってる以上、イノシシには思い入れがあるでしょ」
「姫が民食われるの推進してんじゃねーよ!!」
「これが子どもウケ良くて家族揃って試食食いついてくれるんだよね。味には自信あるから売れる売れる。近所の旅館にも遊びに行って地域活性化できてるし」
「キャラの名前が名前だし、身バレしてんじゃねえのか?」
「いやもう私だって言ってる。お客さんを午後にお迎えして、夕食もてなした後の時間はもっぱら姫になってさ。売店行ったり温泉街散歩したり、お子さんにお呼ばれされたらお部屋に遊びに行ったり」
「で、帰り際着物姿の私見て、子どもは色々…」
「姉貴子どもの趣味捻じ曲げてんじゃねえかよ!!」
「でこれで、一年後に来て私を見た子どもはめちゃめちゃ照れてて可愛いんだよねこれが」
「姉貴も趣味悪ぃな…凪沙と同じになってたなんて…」
「でも凪沙ちゃん、こういうの正体バラさないもんなんだよね?」
「そういう設定にしてるんだからいいんじゃないですか?私が顔バレするのが嫌なだけですし、私のプロデュースじゃない限りは良いと思いますよ。こっちも見てて楽しそうだと思いますし。」
「だってさ。」
「うー…」
「姫ですっかりコスプレハマって、温泉街の宣伝に神社の巫女装束着たり、スキー場の宣伝で雪女コスやったり、あと近所に忍者伝説あったでしょ?最近プレジャーアトラクションで忍者の里が出来たんだけど、そこのイメージキャラの頭領になって」
「げ、忍者の里って…」
「だからしっかり忍者装束っと。ホテルで若女将やってる時にも頭領頭領言われちゃって困っちゃうんだよねえ」
「アタシそっち帰ってもぜってえやんねえからな!?っつーか若女将やりながら身体持つのかよ?」
「疲れるって概念無いねえ…ずっと遊んでるって感じだから」
「うへぇ…こっちに住んだら凪沙で、実家帰れば姉貴がマスク系フェチになってるとか…その体力バカどもはなんでアタシをからかいたがるんだ。」
「今度すみれちゃんの実家で演劇部公演してもいいですか?」
「あ、ぜひぜひ。宿泊・食事・観光・往復の足はこちらでご用意いたしますので」
「アタシ帰んねーぞ!!」
でもしっかり連れて行かれちゃうんでしょうね